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服部水産さんに伺いました

服部水産 服部秀俊

服部水産 服部秀俊

2021/3/8

ハマチ養殖発祥の地で

「引田(ひけた)はハマチ養殖発祥の地なんです。」船が停泊してある港に案内する途中、服部秀俊(はっとりひでとし)社長が教えてくれました。引田の網元だった野網和三郎が海水池である安戸池でハマチ養殖の事業化に成功したのです。服部水産さんはそんな引田の海でハマチを中心にかんぱち、トラウトサーモンの養殖にも取り組んでいます。

服部社長

服部社長

服部社長とハマチ

服部社長とハマチ

服部社長

服部社長

養殖に“適さない”環境

服部水産さんがある香川県東かがわ市引田地区はお世辞にもハマチの養殖を行うのに最適な場所ではありません。暖かい海を好むハマチにとっては水温が低く、冬を越すことができないため、水温が下がる1月中旬には全ての魚を取り上げてしまう必要があります。育成できる期間は九州や四国南岸の地域と比べると圧倒的に短くなってしまいます。また、赤潮を引き起こす栄養塩が豊富な引田地区では、特に危険度が高い6月から9月には餌を与える頻度を大きく制限する必要があります。

引田扇状地

引田扇状地

鳴門の日の出

鳴門の日の出

そんな海域だからこそ

書き出すとデメリットしかないような海域ですが、服部社長はこの条件が逆に質の高いハマチを育てることに繋がっていると考えていました。1月の出荷が終わった後は4月に新しい魚を迎えるまで、ハマチの養殖は一旦休みになります。稼働できない期間はマイナスと考えてしまいがちですが、実はこの約3ヶ月間の休息が海にとっては大切な回復期間となっています。養殖では、どんなに気を遣っていても餌の食べ残しや魚の糞が海底に蓄積し、次第に海の力が失われていきます。3ヶ月きっちり休みを取ることで、引田の海は魚を育てる力を回復し、翌年の魚を大きく育てる力を蓄えます。

幸栄丸ドック

幸栄丸ドック

餌やりの様子

餌やりの様子

餌の攪拌機

餌の攪拌機

オリーブ入りハマチの餌

オリーブ入りハマチの餌

餌やりの様子

餌やりの様子

広く、薄くが服部水産流

今回訪問したのは養殖が行われていない3月。生簀は陸上に引き上げられ、メンテナンスがおこなわれていました。それ自体は水産の現場でよく見る光景ですが、驚かされたのはその生簀の大きさです。通常、ぶりやハマチの養殖では10m四方の生簀が使われるのが一般的ですが、服部水産さんでは25m四方、深さも23mと非常に大きな生簀を使って養殖が行われています。さらに驚いたのが魚を飼育する密度です。ぶりやハマチの場合、1m3あたり7kg程度の密度で養殖するのが一般的ですが、服部水産さんでは魚が一番成長した段階でも1m3あたり5kgほどの密度で飼育しています。大型生簀を使っているため、海域全体で考えるとかなり低い密度で養殖がおこなわれていることがわかります。

減らして増やす、発想の転換

「これまでの養殖は尾数的にできるだけたくさんの魚を育てることが重視されていましたけど、うちはそれをやめたんです。その代わり一尾一尾をできるだけ大きく育てて、総重量では最終的に増産できたね、となるように育てています。」と服部社長。大きな生簀を使っているのも、密度を薄くして運動量を増やし、できるだけたくさん餌を食べるようにという工夫でした。「運動すると痩せてしまうと思う方もいるかもしれませんが、運動する分だけお腹が空いて餌を食べるようになりますし、人間と同じで健康を保つには運動は非常に重要なことです。健康でないと餌を食べず、結局大きく育てることができません。もし途中で死んでしまったら、それこそ、それまでの苦労が水の泡になってしまいます。だから、どうしたら魚を健康な状態に保てるかが非常に重要です」と服部社長は続けます。引田地区のハマチ養殖は出荷時期によっては100回程度しか餌を与えることができません。その一回一回で必要な量を食べさせられるかが、魚の大きさや品質を大きく左右します。

服部社長

服部社長

価格競争から抜け出したい

他の地方に比べて養殖期間の短い引田地区では、新しい技術や取り組みがあれば積極的にチャレンジする文化が浸透していると服部社長は語ります。中でも服部水産さんの取り組みは先進的でした。
米ぬかに含まれるオリザノールという成分を配合したオリジナルの餌を与えて育てた「米米ハマチ」から始まり、2013年には香川県の担当者と一緒になってオリーブの葉を餌に配合した「オリーブハマチ」を開発。今ではその「オリーブハマチ」の中でもさらに差別化を図ろうと、餌の全面的な改良や水産エコラベルへのチャレンジ、今では話題の「津本式」という血抜き処理をしたハマチやサーモンのインターネット通販までおこなっています。
こうした取り組みにチャレンジし続ける根底には、消費者目線で選ばれる魚を育てることで、価格競争から抜け出したいという思いがありました。価格競争に巻き込まれると、「とにかく安くたくさん育てる」という方向に向かってしまいます。それでは量だけが求められ、日本の多様で質の高い水産物が失われることに繋がりかねません。実際、今では価格競争のマイナススパイラルに陥り、廃業してしまう漁業者も増えています。服部水産さんの取り組みは、消費者が本当に求めている価値を魚に付加することで、漁業者も中間業者も小売店も消費者も、それぞれが適正な対価を受け取り、水産業を持続可能な産業として次の世代に残していこうとする取り組みでした。

水産エコラベル「MEL」の取得

服部水産さんのハマチ養殖は2020年3月に、持続可能性に配慮した養殖としてマリン・エコラベル・ジャパン認証(MEL認証)を取得しました。同年7月にはカンパチについてもMEL認証を取得。品質の向上だけでなく、環境に配慮した水産物としての価値の付加にも取り組んでいます。
元々赤潮が多く、周囲の環境には人一倍気を使って養殖に取り組んできた服部水産さん。他県の生産者が水産エコラベルを取得しているのを見て、ハマチ養殖発祥の地である引田の生産者として負けていられないという思いも強かったそうです。

服部社長とエコバッグ

服部社長とエコバッグ

MELに取り組む中で気づいたこと

MEL認証では、今まで自分たちがやってきた養殖のやり方を手順書や記録に残し、誰に対しても説明できることが求められます。手順書を作る過程が一番大変だったと語る一方、その作業が自分たちの養殖を客観視し、見つめ直すいい機会になったとも話していました。魚に対する福祉の視点や、働く人たちがやる気を持って続けていける環境づくりなどの視点は薄々感じていたもののMELのなかで具体的に規定されていて、改めて認識することになったといいます。

これからの水産業のために

「私たち漁業者は魚を育てたり、取ったりしたらそこで終わりになっていて、その先は市場や流通業者さん、小売店さんに任せきりになっていたところが少なからずありました。これまではそれでよかったのかもしれません。ですが、これからの時代、それでは生き残ることができないというのは先に話したとおりです。
今はインターネットが普及し、検索をすればいくらでも情報が出てくる時代になりました。言い換えれば、自分たちで質の高い魚を育て、発信して、価値を作っていくことができる時代です。これまで受け身だった私たち漁業者が、自分たちの手で自分たちの魚に価値をつけることができれば、水産業界の雰囲気は大きく変わるのではないかと思います。もちろんやること全てが上手くいくことなんてないですが、上手くいかなかったら元に戻せばいい。そう思ってこれからもどんどん新しいことにチャレンジしていこうと思っています。」服部社長は力強く語ってくれました。

服部水産 服部 秀俊

服部水産 服部 秀俊 服部水産のオリーブハマチは、香川県特産のオリーブの"葉"の粉末を添加したえさを与えて養殖しています。

企業・団体情報企業・団体情報

  • 組織名

    服部水産有限会社

  • 事業案内

    魚類養殖

  • 設立

    2000年

  • URL

    http://www.hattori-suisan.com/

  • TEL

    0879-49-2847 / 090-3186-3598

  • 営業時間

    6:00 ~ 17:00

  • 所在地

    香川県東かがわ市引田128番地24

    事務所
    香川県東かがわ市引田128番地31

MEL認証MEL認証

認証番号

種類

対象

発行日

JFRCA 10A6600011

養殖

ハマチ小割生簀式養殖

2020/3/19

JFRCA 10A6600021

養殖

カンパチ小割生簀式養殖

2020/7/15

【認証番号】

JFRCA 10A6600011

【種類】

養殖

【対象】

ハマチ小割生簀式養殖

【発行日】

2020/3/19

【認証番号】

JFRCA 10A6600021

【種類】

養殖

【対象】

カンパチ小割生簀式養殖

【発行日】

2020/7/15