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株式会社丸年水産に伺いました

株式会社丸年水産

株式会社丸年水産
藤崎要作

2021.01.07

養殖

山道を下った先に

急な斜面を下ると、一面に黒い遮光ネットに覆われた構造物が現れました。山合いに広がる構造物の集合体は何も知らなければ大人が本気で作った秘密基地といった様相。これが丸年水産さんの「漁場」です。今回社長の藤崎要作(ふじさきようさ)さんに案内していただいた、錦の漁場では約120平方メートルの生簀が250台敷き詰められ、そこで約25万尾以上のヒラメが養殖されています。もともと山だったこの土地を自分たちで切り開いてヒラメの養殖場を作ったというのですから驚きです。丸年水産さんでは、このような陸上生簀を三重県内に3箇所所有し、日本国内でも有数の生産量です。

ヒラメ養殖の「開拓者」

丸年水産さんの3箇所の漁場はいずれも海のすぐ近くにあり、巨大なポンプを使って海水を汲み上げています。遮光ネットをくぐって中に入ると、高さ60cmほどの高さの生簀がびっしりと敷き詰められています。生簀には汲み上げられた海水が張られ、水中に酸素を含ませるため常に水車が回っています。生簀の形は六角形のものが多く、これは無駄なスペースを作らずに生簀を敷き詰めるために考えられた形とのこと。限られた土地を最大限活かす工夫がいたるところに見られました。
陸上養殖では、水中の酸素の量や海水の汚れ具合などを細かく計算し施設を整備していく必要があります。養殖業では養殖に必要な施設は業者に依頼して整えるのが一般的。ところが丸年水産さんでは施設の整備も自分たち主導でおこなっています。丸年水産さんは「水産」といいつつ建設業もやってしまう開拓者でもありました。

漁場を確認する藤崎社長

漁場を確認する藤崎社長

魚の健康に気をつけた養殖が、そのまま「サステイナブルな養殖」に

汲み上げた海水を循環させる丸年水産さんのヒラメ養殖は、周辺の環境に与える影響が非常に少ない養殖方法です。通常の海面養殖ではどうしても餌の食べ残しが周りの海に流れてしまったり、魚が逃亡してしまうリスクがあります。稚魚の導入から出荷まで養殖作業のすべてが陸上で完結する陸上養殖ではそういったリスクはほぼゼロになります。養殖場からの排水も巨大な濾過槽を通して綺麗な海水だけを海に流すクリーンな養殖業です。ヒラメは海底の砂に紛れて身を隠す習性があります。養殖場のヒラメも生簀の底に集まるため生簀の水深は60cmほどで済んでしまいます。この深さであれば、魚の成長具合や餌の食べっぷり、生簀の海水の透明度などを肉眼でも確認することができ、何か異変があればすぐに確認することができます。魚の健康管理がこれほど目に見える形でできることは陸上養殖の大きな利点です。
丸年水産さんでは人の手で管理・孵化された稚魚(人工種苗)を購入し、800g程度に育てて出荷しています。稚魚から成魚までのサイクルが人工の環境で完結するこの養殖方法は「完全養殖」と呼ばれ、非常にサステイナブルな養殖方法です。丸年水産さんでは創業当初からこの完全養殖に取り組んでこられたのだとか。藤崎さんは、環境のことばかりを考えてそうしたというよりは、養殖の効率を考えたり、魚の品質を上げようとする努力の結果が環境への配慮にも繋がったと話します。できるだけ質の良い稚魚を選ぶこと、できるだけ自然に近い環境で育てること、魚が病気にならないよう丁寧に管理すること。どれも養殖の質を上げるための取り組みですが、それが結果としてサステイナブルな養殖に繋がっていました。

ヒラメ養殖の生簀

ヒラメ養殖の生簀

MEL取得の取り組み

丸年水産さんも茂由水産さんと同じ大手小売店にプライベートブランドとしてヒラメを出荷しています。その小売店のMEL取得に合わせる形で丸年水産さんもMEL認証の取得に取り組み、2020年3月に取得しました。こういった認証にチャレンジするのは初めてとのことでしたが、これまでの養殖方法を文書化することで比較的スムーズに取得することができたといいます。これからは環境にも配慮した水産物が選ばれる時代。だから、ただ環境に配慮した取り組みをするだけでなく、それが認証という形になるのはとても意義があると藤崎社長はいいます。

MELマークがついたヒラメ

MELマークがついたヒラメ

帰ってきた息子さんと二人三脚

丸年水産さんには今年からフレッシュなメンバーが加わりました。要作さんの息子・魁(かい)さんです。高校時代は三重県内でも有名なサッカーの強豪校に通い、今でも少年サッカーのコーチを続けているサッカー青年です。これまでは一般企業で働いてきましたが、丸年水産の3代目として帰ってきました。丸年水産は要作さんもお父さんからバトンを受け継いだ水産会社です。高齢化が進む水産業界ですが、これまで築いてきた技術と合わせて若い世代へのバトンタッチが進んでいきます。

藤崎社長と息子さん

藤崎社長と息子さん

株式会社丸年水産 藤崎要作

株式会社丸年水産
藤崎要作
もともと山だったこの土地を自分たちで切り開いてヒラメの養殖場を作り約25万尾以上のヒラメを養殖しています。このような陸上生簀を三重県内に3箇所所有し、日本国内でも有数の生産量です。

企業・団体情報企業・団体情報

  • 組織名

    株式会社丸年水産

  • 事業案内

    ヒラメ陸上養殖

  • 所在地

    三重県度会郡大紀町

MEL認証MEL認証

認証番号

種類

対象

発行日

JFRCA 10A490003

養殖

ヒラメ陸上養殖

2020/03/19

【認証番号】

JFRCA 10A490003

【種類】

養殖

【対象】

ヒラメ陸上養殖

【発行日】

2020/03/19

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